人は、特定の要素だけに集中してしまい、その要素を過大評価してしまう癖がある。
それを「フォーカシングイリュージョン」と言います。
気をつけてないと、そのせいで幸せが逃げていくかもしれない。
ノ ーベル経済学賞を受賞した心理学者のダニエル ・カ ーネマンは 、次のように説明している 。フォ ーカシング ・イリュ ージョンとは 「特定のことについて集中して考えているあいだはそれが人生の重要な要素のように思えても 、実際にはあなたが思うほど重要なことでもなんでもない 」という錯覚を表す言葉だと 。つまり 、人生における 「特定の要素 」だけに意識を集中させると 、その要素が人生に与える影響を大きく見積もりすぎてしまう 。
(本「Think clearly」より引用)
フォーカシングイリュージョンとは?
例えば、エレベーターに乗る時、「一番先に乗り込む」という要素に集中してると、一番先に乗り込むという事が過大評価され、それが人生で大事なことだと錯覚してしまう。
そのため、「エレベーターに一番先に乗り込む」ことができないと、大変不幸せな気分になってしまったりする。
エレベーターなんて、最初だろうが後だろうが、降りる時間に10秒も差がつかないのにも関わらず。
(実は、一番最初に乗り込むと一番奥に入るため、出るのは一番最後になることが多い)
電車でもそうだ。「この電車に座る」という要素に集中していると、それが一大事なことと錯覚し、座れなかった時に異常な不快感を覚えてしまう。
これが「フォーカシングイリュージョン」です。
「集中の錯覚」と訳せる。
本「Think clearly」にある例えを下記に引用します。
前回 、パリを訪れたときにこんなことがあった 。トロカデロ庭園に面したシャングリラホテルでチェックインをしていると 、私のすぐ隣に立っていた男が 、フロント係の女性をどなりつけた 。フロントがエッフェル塔の見える部屋を用意できなかったかららしい 。その男は 「あんたのせいでこのパリ旅行は台無しだ ! 」と (英語で )悪態をついていた 。私はあきれて首を横にふった 。ホテルのベッドからエッフェル塔が見えるかどうかなど 、どうだっていいではないか 。それよりも 、ぐっすり眠れることのほうがずっと大事だ 。ホテルの部屋から見えるエッフェル塔の眺めは 、パリ旅行を楽しむという全体図から見れば些細な要素にすぎない 。おまけにエッフェル塔はホテルから一歩外に出ればいくらでも見られるのだ 。それなのに 、顔を真っ赤にしてくってかかるそのアメリカ人は 、怒りではちきれんばかりだった 。彼の 「フォ ーカシング ・イリュ ージョン 」は 、アリのように小さなことを象のように大きくしてしまっていたのだ 。
選択をする時にも「フォーカシングイリュージョン」に注意
大きな買い物をするとき、就職先を選んだり、夏休みをどこで過ごすか決めるとき、人生の選択をする時、などに注意が必要です。
いくつかの選択肢の中から一つを選ぶという時にも「フォーカシングイリュージョン」が働くからです。
例えば、転職先をリストアップし、転職先の給与だけに集中すると、そこを過大評価してしまい、他の条件を考慮せずに、後悔する転職になってしまうかもしれない。
お金だけでなく、やりがい、仕事内容、環境、自分に合うかどうかは、他にも要素は様々にあるはずだ。
または、「今の会社をとにかく辞めたい」ということに集中すると、まず辞めることを過大評価して、転職先のことをよく調べず、自分に合わない会社に転職してしまうかも知れない。
「フォーカシングイリュージョン」を防ぐためには?
「自分の人生を、距離を置いて、全体図を観る」ということで、「フォーカシングイリュージョン」が防げると言います。
何か一大事だと感じる要素があれば、「自分の人生を、距離置いて、全体図を客観的に見る」と、自分の人生にとって小さな小さなことかもしれません。
中々、簡単ではないですが。
フォーカシングイリュージョンを起こしている要素以外に、他の沢山の要素を並べないと、「全体図」は作れません。
「全体図」を紙に書いみると良いかもしれません。
恐怖やストレスに注意
人間は恐怖やストレスを感じると、脳内でノルアドレナリンという脳内物質がでて、その恐怖やストレスの対象に強く意識がいきます。
ノルアドレナリンにプラス更して「フォーカシングイリュージョン」が起こったら、どうしてもそれ以外に考えられない状態になってしまうと思います。
その恐怖やストレスな出来事は、本当に人生にとって重要なことなのだろうか。
人とよく比較してしまう人は注意
「人と比較して優越感で幸福感を得ようとしたり・劣等感をよぅ感じてしまう」という人は要注意です。
「人と比較して優越感や劣等感を感じる」ことは、幸福度が低い人生を作ることが分かっています。
更にそこに「フォーカシングイリュージョン」が働くと不幸感は計り知れません。
まとめ
・人間は、小事を大事と錯覚する。 (=フォーカシングイリュージョン)
・フォーカシングイリュージョンに気をつける。
・「自分の人生を、距離置いて、全体図を客観的に見る」ことで、フォーカシングイリュージョンを避ける。