
本「愛するということ」の著者、社会心理学者のフロムは、現代人が「愛について3つの誤解をしている」ことを警告しています。
- 「愛すること」より「愛されること」の問題だと誤解している
- 愛は「相手(対象)」の問題だと誤解している
- 愛は「落ちるもの」だと誤解している
1.「愛すること」より「愛されること」の問題だと誤解している
「愛される人になること」が問題だと誤解しているといます。
「愛されること」が重要ではなく
「愛することを学ぶ」「愛する能力を磨く」ことが愛にとって重要なことです。
たいていの人は愛の問題を、愛するという問題、愛する能力の問題としてではなく、愛されるという問題として捉えている。つまり、人びとにとって重要なのは、どうすれば愛されるか、どうすれば愛される人間になれるか、ということなのだ。(12─13)
2. 愛は「相手(対象)」の問題だと誤解している
「自分には愛する能力はあるが、相手が問題で相手がいないのだ」と誤解しているといいます。
「自分の損得で商品を選び、気に入らなければ放っておく」というのは、人間の愛とは違います。
愛は「愛する相手を見つけること」ではなく、「愛する能力を学んでいく」ことです。
愛には学ぶべきことなど何一つない、という考え方の底にある第二の前提は、愛の問題とはすなわち対象の問題であって能力の問題ではない、という思いこみである。愛することは簡単だが、愛するにふさわしい相手、あるいは愛されるにふさわしい相手を見つけることはむずかしい──人びとはそんなふうに考えている。(13)
3. 愛は「落ちるもの」だと誤解している。
愛は「Fall in love. (愛に落ちる)」という一時的な事象と同じものだと誤解しているといいます。
「愛が落ちるものだ」という誤解があると、「愛する能力」が不要だという誤解になります。
「愛は一時的に落ちるもの」ではなく、
愛は「与えること」であり、「愛する能力」を学んでいく、永続的なものです。
第三の誤りは、恋に「落ちる」という最初の体験と、愛している、あるいはもっとうまく表現すれば、愛のなかに「とどまっている」という持続的な状態とを、混同していることである。(16)